BRUNOが応援する「旅」 〜世界の自転車旅をサポート〜 若者よ旅に出よ! 第2弾

世界旅 第2弾
伊藤沙也加の北米西海岸縦断の旅
VOL.3

 いよいよ待ちに待った自走の旅が始まる。なぜ自走を決意したかというと、自分がどれだけ挑戦出来るのかを試したかったのと、いろんな人に出逢って刺激的な毎日にしたかったからだ。
 また、自分のためだけではなく、日本で応援してくれる家族や友達のためにも、諦めずに走ろうと決めた。期待よりも不安や恐怖の方が大きいが、一歩踏み出してみないと何が起こるかわからない。

 それが旅なのではないのか。そう自分に言い聞かせ、出発した。

MAP

9/11
【ポートランド〜マクミンヴィル】
44miles 8:26-15:00

 アメリカ自転車縦断旅1日目。101という西海岸のハイウェイに出るために、まずは、ポートランドからリンカーンシティに向かう。一気に目指すのは難しいため、途中でマクミンヴィルを経由することにした。
 最初の3マイルがとても急な坂で最初から引き返したくなる。そのあともアップダウンは続き、なんとか6時間半で到着。向かい風だったため、下りでも漕ぎ続けないと前に進めなかった。

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 この日は、ウォームシャワーズ(バイカーを無料で泊めてくれるサイト)を利用し、老夫婦の家に泊めてもらった。彼らは、ビーガン料理でもてなしてくれた。バーガーにはさむお肉は、豆でできている。夫のスティーブンは自転車を3台持っており、今月末にもニューヨークの近くの湖を自転車で旅するらしい。

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 夕方には、スティーブンの奥さまロビンと散歩をして、ご近所さんとお喋り。小さな街なので、皆、顔見知りのようだ。そして、私に見せたい光景があるという。それは、チムニースイフトという黒くて小さな鳥が、集団となり、煙突の中に入る瞬間があるらしい。ご近所さんもどの煙突に入るか予想をたてている。しかし、珍しい光景らしく、結局見ることができなかった。残念ではあったが、このように雑談しながら、空を見上げて話す時間は、久しぶりだなと思った。

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9/12
【マクミンヴィル〜リンカーンシティ】
52 miles 8:40-15:40

 次の日の朝、スティーブンとロビンに別れを告げ、この日はリンカーンシティを目指す。最初はずっと平坦な道だった。空はこんなに広いのかと思うくらい何もない一本道。歌を歌いながら、ひたすら走った。お花畑も見つけた。

 目的地まで、残り半分のところで、コーヒースタンドに寄った。おばちゃんが「ここからアップダウンがすごいわよ」。と言ったので、覚悟したが、その言葉は本当だった。走っても走っても前に進まず、辛くて涙が出た。この先やっていけるのか、とても不安になった。

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 私は、ポジティブな性格ではあるのだが、旅は、いつもの喜怒哀楽以上の感情が芽生える。辛くなったり、悲しくなったり。いかに自分で前を向いて楽しめるかが大切な気がした。走っている最中はとてもしんどいのだが、走り終えた後の達成感は言葉にできないほどである。

 リンカーンシティに到着し、キャンプ場に宿泊することにした。アメリカの国立公園は、ほとんどの場所にハイカー&バイカーエリアがあり、テントと寝袋さえ持っていれば、5〜6ドルほどで宿泊ができる。私は、ポートランドで買ったテントを立て、初めてのテント泊を経験した。

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9/13
【リンカーンシティ〜サウス ウォルトポート】
45miles 9:05-15:18

 朝起きたらテントが3つ。オーストラリアのパース出身の女の子、アビーがいた。同じく南を目指しているらしい。彼女は、仕事をやめ、3か月かけて、カナダからサンディエゴまで自転車で自走するとのこと。仲間ができた気持ちになり、とても嬉しかった。

 今日は、広くて大きい海の近くをひたすら走る。オレゴンコーストはとても走りやすいと聞いていたのだが、相変わらずアップダウンは多い。いかに登り坂を楽しくできるか考えて、「いち、に、いち、に」。のリズムを口に出して言ってみたり、ギアの使い方を工夫したり、中学時代の辛い部活動を思い出してみた。そうすると、後半は慣れて来て、なんとか目的地のウォルドポートに到着することができた。

 アメリカにいると、空と海の広さを感じる。明日もがんばろう。少しずつだが前進している。

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9/14
【サウス ウォルトポート〜 リーズポート】
56 miles 9:30-19:30

 この日は、ずっと泣いて走っていた。本当に、山しかないのである。アビーより先に走ってきたこともあり、孤独な自走が続く。山を登れば、素晴らしい景色が待っていた。しかし、この時の私は走るのに必死だった。海岸沿いを走っていると、大きなキャンピングカーが横を通る。すごい勢いなので、ハンドルを取られて、崖から落ちそうになる。

  怖い思いをしながらも、休憩していると、車で通りがかる人たちが、応援してくれる。「You can do it(君ならできるよ)」 と強く手を握って励ましてくれるのだ。私のことを誰も知らない場所で、見ず知らずの人が、優しく声をかけてくれる。何度涙したことか。「私はいろんな人に支えられているんだ」そう実感した。そして夕方になった。バイカーの宿泊できるキャンプグラウンドもなく、野宿を覚悟した。しかし、3マイル先にモーテルがあることを知り、20ドルかかったが宿泊することにした。ここには、Wi-Fiもコンセントもあった。

 明日は、このまま走り続けても旅を楽しむことができない気がした。一回、休憩を挟もう。ここまで4日間がむしゃらに走ってきて、体力的にも精神的にもだいぶ疲労していると感じた。

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9/15
【The rest day】
Have Fun!

 今日は、朝起きても動く気になれず、ぐずぐずしていたら、隣のモーテルにいたスティーブが話しかけてくれた。

  毎日たくさん走って疲れたこと、自転車の調子がおかしいこと、自分の夢や将来の話などたくさん話した。私は先を急ぎすぎて、旅を楽しむことを忘れていたのかもしれない。 そうしたらスティーブは、「Have fun. Don't worry about tomorrow」と言ってくれた。
 今の私にとっては、救いの言葉であった。そのあと、一緒にコーヒーを飲みに行き、「1週間のうち2日間は休みでしょ?だったら今日はデイオフだよ」。そう言ってくれた。一緒にライトハウスにいき、2マイル先のキャンプ場に泊まることにした。旅は楽しくないとね、と改めて教えてもらったのだ。

 彼は5年間、自転車でカナダ、メキシコ、アメリカを旅しており、たくさんの人に出逢っていた。写真にうつる笑顔はどれも幸せそうで、私のお手本になるような人生を送っていた。出逢った人からメッセージを集めていて、私も書き記した。彼は、奥さんを亡くしていて、自身は癌の手術を2度も受けていた。癌のドネイトを集めて、旅をしているのだ。

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 私は、早くサンフランシスコに着きたくて焦っていたし、自分に負けたくないと躍起になっていた。スティーブと出逢い、旅を全力で楽しむことを再確認できた。私にとって、とても良い出逢いだった。
 夜は、キャンプファイヤーをしたのだが、んとアビーが追いついた。ただただ嬉しくてたまなかった。オージーのアビー、イギリス人、シアトルのおじちゃん、ニューポートのスティーブと私で、旅の話をし続けた。私の自転車の調子が悪いところも直してもらうことができ、最高に良い夜になった。見上げると満天の星空。最高に贅沢な時間だ。

 自分らしく、楽しく、毎日笑顔で。明日からまたマイペースに楽しもう。人と話せば、私は元気になる。もっといろんな人に出逢って、たくさん経験して、明日からも怒涛な日々が続くかもしれないが、笑って乗り越えよう。そう思った。

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9/16
【リーズポート〜 ブラーズ】
52miles 10:00-18:30

 今日は、楽しむことを意識して走った。クースベイまでは、下りが多かったため、歌を歌い、景色を楽しむことができた。そしてついに、セブンデビルズという峠に挑むことになる。他のバイカーから、きつい坂があると聞いていたから覚悟はしていた。最初の登りは、本当に急で諦めそうになったが、頑張って走り続けたら、絶景が待っていた。最初は、霧が多かったのだが、頂上に着いた時は、天気も良くて最高に気持ちよかった。

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 今夜もテント泊。サンディエゴに住んでいるスティーブもいて、ろうそくを付けて皆で乾杯。彼は建築関係のエンジニアらしい。「西海岸は、津波注意の標識がよくあるのだが、もし津波がきたらどうする?」という話や、今まで通ってきたルートの話、なんで西海岸を走っているのかなどを語った。
 ブリティッシュとアメリカンとオージーと私。英語の発音が皆違い、面白かった。

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9/17
【ブラーズ〜ポートオーフォード】
36miles 9:00-14:30

 今日の天気予報は雨。アビーたちは雨が降りそうだからステイするとのこと。私は少し先まで走ることにした。山のアップダウンにも慣れてきて、普通の道がつまらなく感じてきた。

 途中でコーヒー屋さんに寄ったのだが、とても居心地がよかった。常連さんもたくさんいて、ポストイットが壁に貼ってあり、お客さんの想いがたくさん書かれていた。オーナーは、元パイロットでアメリカ、カナダ、メキシコの空を20年も飛んでいたらしい。今は大好きなコーヒーと音楽をやっていて、最高に楽しいと言っていた。ここでもいろんな人に旅を応援してもらい、元気付けられた。

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9/18
【ポートオーフォード〜ブルッキングズ】
49miles 10:00-17:30

 今日の降水確率は80%だったのだが、晴れ女だから大丈夫だろうと走り続けた。強い雨のときもあったが、最後は晴れてくれた。夜はガイとスーザンとキャンプ。ガイはカナダから走ってきていた。スーザンはバスを使いながら、輪行しているらしい。

 自転車旅をしていると、人との出逢いが多い。走っている最中も南の方から、「From Mexico To Canada」という看板をつけたお兄さんが歩いてくるし、重そうな荷物を担ぎながら歩いているハイカーのおじいちゃんもたくさんいる。すれ違いざまに「お互い頑張ろうね」。とアイコンタクトを交わすだけでも、嬉しい気持ちになり、走るためのエネルギーになる。。

 この1週間を通して、思ったこと。それは、誰かと比較して負けず嫌いになり、張り合うことも多いけれど、そうじゃなくてもいいのではないかと思った。私は私らしくでいい。

 アビーたちは天気予報が4日連続雨なら、雨が止むまで走らないわといった調子である。私のFacebookを見て連絡をくれた日本人のお兄さんも毎日20kmしか漕いでないよと言っていた。私は今まで誰かに負けたくないとか、こうじゃないといけないというプライドがたくさんあって、生き急ぎながら生活していたのかもしれない。
 キャンプ場ではいろんな国の人と会う機会が多い。皆で話していると、楽しければいいでしょ?笑わないとね? と皆言ってくれる。周りの目を気にするような変なプライドなどはどうでもよくなった。
 楽しいかどうか、笑えてるかどうか。ただそれだけでいいはず。

 ひたすら目的地まで走り続けることも良いけど、海の音を感じて、人と話して、コーヒーを飲んで温まって、その土地の雰囲気、匂いをもっともっと感じよう。それが私にとっての最高の旅なのだと思う。自分のペースで、明日からも全力で旅しよう。

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監修

ルーカス B.B 氏
地上で読む機内誌
PAPERSKY 編集長
ルーカス B.B 氏
山下 晃和 氏
旅するファッションモデル
山下 晃和 氏
松田 吉弘 氏
サイクルスポット
松田 吉弘 氏
河鍋 優美子 氏
サイクルスポット
河鍋 優美子 氏

協賛

le cyc traveler BROOKSPAPERSKY
BRUNO VENTURA WORLD TRAVEL